太鼓鐘と光忠のぎくしゃく

一期一振が本丸に来るのは遅かったが皆が彼を待っていたかというとそうでもなかった。同様に、太鼓鐘貞宗も本丸に来るのは遅かったが彼もまた同様だった。 「みっ、ちゃん?」 「やあ。貞ちゃん」 燭台切光忠は本丸の中でも随一の刀らしい感情を持ち合わせていたせいか、太鼓鐘貞宗とのズレ周りの刀剣たちは否めなかった。 一期一振は粟田口の兄としていたが、この本丸での粟田口は一期一振を探し求めるということよりもまずは世祖と#名前2#の奔放さについていくのと同時に秋田と五虎退に慣れることの方が先だった。薬研は慣れていたが、秋田と五虎退は最初は自分だけが助かっているというブラック本丸でのトラウマを思い出し自分の兄弟と共に過ごせない時があったのだ。いない刀剣をさがすよりも、いる刀剣に避けられることの方が辛い。その時いた粟田口の短刀や脇差が慣れて数ヶ月たった頃に一期一振が来たのだからそれはそれでまた問題だった。一期一振に秋田と五虎退が近づけないのである。半径3mを維持しなければ同じ空間にいられないというのだ。いち兄という特別な存在だからこそのそれだったが一期は毎晩枕を濡らしていたし秋田たちは毎晩昔の本丸や検非違使のことを思い出して魘されていた。何週間かたって自分たちで解決出来ないほどだと#名前2#が判断してようやく粟田口がそろって居られるようになったのは記憶に新しい。 ここで注意しておきたいのは、これは何も秋田と五虎退に限ったことではなく今剣は岩融に対してそんなトラウマを発揮していたということだ。小夜左文字がブラック本丸といってもサイコパスな審神者のせいだったため、そのような事態は回避されたが燭台切光忠についても#名前2#はきちんと考えるべきだった。太鼓鐘貞宗は新しく呼び出された刀剣で、ブラック本丸にいるような刀剣ではないということを。 「おお、風邪だな」 長谷部の様子がおかしいと言われて見に行ったら、長谷部はまるで子どものようにぐずぐずと泣きながらうゔー、うゔー、とうなっていた。初めての風邪らしく、熱が出て関節痛に苦しみ、鼻づまりのせいで横になりたくないと泣いていた。#名前2#は元からあまり風邪をひくような体をしていないため、風邪になった時の対処法はあたふたとしたものだった。刀剣でも風邪ひくんだなあ、と初めてのことになんだか思い入れが深くなった。 「風邪なんだって? 長谷部さん」 太鼓鐘がひょっこりと勝手に顔を出した。#名前2#は苦笑いで「そうらしい」と頷く。未だに刀剣が風邪をひくのか疑わしく思っていたのだ。もしかしたら本霊のバグかもしれないと思ったのだが、沖野さんに連絡してみてもそれはないと言う。おそらく風邪だ、と診断されたこの事態にまずは長谷部用に食べやすい朝食を用意しなきゃなあと思ったのだ。 「何作るんだ? 手伝うよ」 「ああ、ありがとな」 味のないお粥なんか食べられるか!と叫んだ長谷部だったので仕方なく冷蔵庫の余り物で雑炊をつくることにした。土鍋に凝り性の堀川によって作られた出汁と水を投入する。野菜は人参と大根と小松菜があったので柔らかくなるように入れていく。太鼓鐘は昔の持ち主の影響で料理をするのが好きらしい。手際よく火を操って鍋に野菜を入れる姿は確かに新刃とは思えない動きだった。全部を終えたあと残るはご飯でいいか、と思っていた#名前2#に太鼓鐘が「カニがある!!」とキラキラした目で見つめてきた。 「……」 「……!」 「仕方ない。入れるか」負けてしまった。 沖野からもらい受けたカニをほぐしていくことにする。この足に残っているのがなかなかほぐすのが難しいが我慢だ。たっぷり作って後で自分も食べればいい。カニをほぐしていたらいつの間にか話すことがなくなって2人は無言になった。 「なあ、#名前2#さん」 「なんだ?」 「みっちゃんは俺のことを嫌いになっちゃったのかな?」 「……どうしてそう思う?」 「みっちゃん、あんまり人として顕現したことを嬉しく思ってないみたいだから。俺はこうやって色んな刀たちと話せるのが嬉しいけど、それって人になってこそだろ? だから、こうやって楽しむのってみっちゃんには嫌なのかな、って。俺と話しててもあんまり楽しそうにしないから」 ふむ。 大抵の刀剣たちは本霊によってブラック本丸のことを知らされているものだがどうやら太鼓鐘は入手も難しいせいか本霊の方にそういった情報が届いてないらしい。燭台切光忠がブラック本丸出身=刀剣としてのあつかいが好き、という恒等式はないが大体の刀剣たちは「ああ、なるほどね」と納得するものだ。だが……。太鼓鐘はそうでないらしかった。 カニをほぐしながらも雰囲気はまるで濡れた子犬のように悲しそうにしている。何て返したものか考えあぐねた#名前2#はとりあえず自分の手元にあるカニを鍋の中に突っ込んだ。そしておたまでグルグルとかき回しながらすこしだけ考えて口を開いた。 「太鼓鐘」 「うん」 「燭台切はな、心に病気を負ったんだ」 「病気を?」 太鼓鐘の手が止まって#名前2#の背中を見つめる。 「ああ。心の病気は中々治らないもんでな。今も光忠はどうすれば良いのか分からなくて悩んでる所がある。刀としての自分と、今世祖に仕える自分とで揺れ動いてる。俺はそこに手を貸してやれないし、世祖にも出来ない」 「じゃ、じゃあ! どうすればみっちゃんを助けられる!?」 太鼓鐘は#名前2#の背中にしがみついた。広い背中を両手で掴んで「俺、みっちゃんには伊達の時みたいに笑っててほしいんだ!」と叫んだ。 「……」 まさかそんな返答になるとは思わず#名前2#はまた考え込んで「雑炊出来たら教えてやるよ」と逃げた返事をした。 長谷部がぐずぐずと鼻をすすり涙を流しながら雑炊を食べてるところを写真に撮って後のことは薬研に任せてきた。昼寝を終えた世祖を抱き上げて#名前2#と 太鼓鐘はまた勝手の方に戻ってきた。 「いいか、太鼓鐘」 「うん」 「燭台切には、あんまり手を差し伸べるのはよくない。あいつにはこの本丸で1番刀としての自負が強いからな」 「分かった。俺、気をつけるよ」 「……本当か?」 「本当だよ!!」 「……手を差し伸べないってのは、要するに今何かしてやれるのはほとんど無いってことだぞ?」 「えぇっ!?」 それじゃあ話が違うよ、と泣きそうになる太鼓鐘を撫でながら#名前2#は世祖を膝に座らせて「例えばだな」と話を続けた。 「世祖には出来ることと出来ないことの差が激しい。だから俺が手伝うし、手を貸してやる。 だけど燭台切の場合はそんなに差がない。かっこいい刀として、今顕現された自分が人らしいことを人並みにやれるようには頑張ってたからな。だけど、あいつは自分の性根が刀だと思ってるから誰かに手を貸されるのは違和感を覚えるらしい」 「刀だから?」 「そう。あいつは人間の姿は仮の姿で刀が本人、ってイメージなんだな。だから俺たちに出来ることは雑炊を食べさせること」 「……雑炊?」 唐突に飛んだ話についていけず太鼓鐘が首をかしげた。世祖の方はなるほどねーと納得したのか「#名前2#。しょきー、とこ いく」と服を引っ張った。 「燭台切光忠は人の姿だってゆったろ? 味覚もあるし、視覚も、嗅覚もある。鶴丸や大倶利伽羅も呼んでみんなで雑炊食べな。皆で食べるとよ、うまいんだって。特に作ったやつと一緒に食べるとすげーうまい。それを感じられるのって、人間だけらしいぜ」 「へぇー……」 「その顔は信じてないって言ってるな。まあ、いいや。百聞はなんちゃらって言うしそろそろ鶴丸は出陣から帰ってくるだろうから誘ってみな」 「…わかった!」 とたとた走っていく太鼓鐘の背中を見送って#名前2#は「さあーて。雑炊食べるかなあ」と世祖のぶんも椀によそって部屋へと歩き出した。本日の近侍は#名前2#との相性がなんだかんだ悪い長谷部である。 「長谷ー、食ってるかー?」 「ひゅまい」 「しゅうまい」 「たべたい!」 「#名前2#さん、長谷部の旦那をいじめてやるなよ……」 折角のデレに#名前2#にボケ返しされて真っ赤になった長谷部だったが#名前2#が椀を2つ持っていることに気づいて「ここで食べるのか?」と聞いた。 「ああ。みんなで食べる方がうまいだろ。ほら、これ薬研の分」 「俺っちのもあるのか。ありがたく頂くぜ」 「世祖のは?」 「世祖は昼寝した後でこの後ぜったい遊びに行くからあんまり腹に入れねーの。俺のを分けるぐらいかな」 世祖もそれを分かっているのか雛鳥のように#名前2#から分け与えられた雑炊を口にパクパクと放り込んでその後は静かになった。長谷部の鼻をかみすぎて真赤な鼻を見て「はな」と自分の鼻をくすぐる。 「そういや、薬研。最近、一期はどうだ? この前掃除当番一緒だったけどまた溜め込んでるみたいじゃねーか」 「ああ、多分今噂の包丁藤四郎のことだな」 「ほーひょーほーひおー?」 「豊臣秀吉の所持していた短刀でな。……まあ、性癖が特殊っつーか。そんな感じだ」 「ああ、それで一期はどうすればいいのか困ってるのか。現代の倫理観にそぐわねえ性癖だから」 「多分なー」 ポケットに入れていたモバイルで新しい刀剣男士についてさにちゃんで聞いてみると「包丁藤四郎」という名前の可愛らしい少年がいた。 「別に普通のやつっぽいけど人間って見た目によらねえんだな」 それをあんたが言うのか、と長谷部と薬研は突っ込まなかった。彼らは割と#名前2#と世祖に毒されている。 雑炊を食べ終えた燭台切はスッキリしたような顔で「ありがとうね」と返事をした。 「うまかった?」 「うん、とっても」 燭台切は刀であるが、人間の形をしている。#名前2#さんの言った通り、彼は雑炊をぺろりとたべあげておかわりはないの?と聞いた。 「#名前2#さんがよそってっちゃったかも」 「あー、なら残ってないねえ。彼はそこら辺はシビアだから」 「しび…?」 「厳しいってことさ」 笑う彼は演練で見かける様な燭台切と同じなのに、雰囲気はまるで違う。ここの燭台切光忠は刀であるということの顕示欲が強いらしいのだ。 「美味かったなあ」 「ああ」 それに比べて鶴丸国永や大倶利伽羅は刀でない自分と楽しく付き合いながら暮らしている。燭台切との仲は普通だ。#名前2#が元の主関係なく誰かを組ませるので親友のような感じにはならないのだろう。だけど太鼓鐘はそれじゃあ寂しいじゃないかと思っていた。前の主のもとで集った刀が今こうして出会えたことにはきっと何かしらの意味があるはずだと信じているからだ。(#名前2#や燭台切に伝えたことはないが。) 「なあ、みっちゃん」 「なんだい、貞ちゃん」 「ここで暮しててさ、楽しいことってなんかある?」 だから燭台切が今迷っているならば太鼓鐘貞宗という男は伊達男らしく友の背中をどーんと押してやらなければならない。だけど、何かすることは禁止されたからこうやって聞くだけだ。 「……」 鶴丸も大倶利伽羅も黙って燭台切を見つめる。彼はキョトンとした顔のまま「なんだろうね?」と疑問形で返してきた。 「なんだろうね、って……」 「いやあ、楽しいことって言われてもね……。そうだなあ」 燭台切が首をかしげてる間に鶴丸たちに聞いてみると、鶴丸は「やっぱり驚きがあることだな」と即答した。 「驚き? って、どんなのだ?」 「この世界は俺達が刀として生きていた時代とあまりにも変わった! ネットに、時空の歪み! #名前2#さんたちは人としての箍を外し、そんな中でもこんのすけのような管狐が共存しているんだぞ!? これ以上に驚かせることは世界に沢山あるらしい。俺はそれを見たいんだ」 目をキラキラさせて話す鶴丸に太鼓鐘も「へぇー!!」とワクワクしたような声を出す。聞いただけでは分からないこともあるが、気になることは沢山ある。この世界は2205年。太鼓鐘貞宗が刀として生きた時代はもはや大昔のことで、むかしむかしあるところにーと語られる世界中なのだから! 大倶利伽羅は?と聞くと彼は意外にも「飯がうまい」と返した。 「それだけで楽しさなんて充分だ」 「ははは、大倶利伽羅は食事当番にあたると豪勢な料理を沢山作るから#名前2#さんはよく嘆くんだ。世祖が食わず嫌いして残すことがあるからな」 「……レシピ通りだから仕方ないだろう」 これまた「へー!!」と叫びたい話だった。大倶利伽羅はそんなに料理が好きだなんて! じゃあこの雑炊食べてどう思った?と聞くと「#名前2#さんらしい雑把な味だな」と返す。 「あの人は基本勘を信じて味付けしているからな。不味い時もあるが、奇跡みたいな味の時もたまにある。ほとんどは雑把で食べればいいだろうみたいな感じだ」 なんかそれはわかる。#名前2#が料理をしている時、味付けをしていても「こんなもんでいっか」とかなり適当なのだ。だが世祖にはそれがウケるらしく大倶利伽羅には気に食わないらしい。 「大倶利伽羅はちっさい奴らの世話を見るのが好きだからな!」 「そうなんだ?」 「……ここには、馴染むのが大変な奴らも多いからだ」 ふっと視線が向けられた燭台切は考え終わったのか苦笑いだった。自分と同じブラック本丸出身の刀剣男士の話をされていたからだろう。あ、と思った瞬間には遅く燭台切は「伽羅ちゃんがいなきゃ大変だったろうね」と頷いた。 「……」 「でも、僕らは何か腫れ物扱いされるよりも伽羅ちゃんみたいに普通の扱いが嬉しかったし。みんな、それで懐くんだよね。 ……僕、ここでね誰かの笑顔を見るのが好きみたいなんだ。だから、それを邪魔する歴史修正主義者は殺さなきゃって思うし検非違使からみんなを守らなきゃって思う。戦うのは怖いんだけどね。……でも、#名前2#さんに僕は刀として誰かを守るって宣言しちゃったからね。二言を告ぐってのはかっこわるいだろ? 貞ちゃんたちには迷惑かけちゃったね、ごめん。僕はこれでも人の体になれて良かったと思ってるし、遊ぶことも好きだよ。みんなが笑うからね。だけど、僕はそこに交ざらなくても平気なんだ」 ……刀でいようとすると、そこら辺の折り合いが僕の中ではまだ難しいみたいなんだ。 太鼓鐘は#名前2#がなぜ燭台切に手を差し出すな、と言った理由が分かった。彼は、燭台切がまだ微妙な心情のままゆらゆらと陽炎のように生きていることが分かっていたのだろう。太鼓鐘はごめん、と謝ると燭台切はなんで謝るのさ、と笑った。 「俺、無神経なこと言っちゃった」 「そう? 僕はきちんと伝えられてよかったと思うよ」 それでも、 太鼓鐘は燭台切にそんな思いをわざわざ吐露させたくはなかった。それは燭台切にとってのストレスとなってしまう。 「雑炊、ありがとうね」 燭台切はやっぱり笑っていた。 「ご、五虎退、帰ってきました。 あの、虎は三匹しか倒せませんでした……すみません」 「おう、おかえり」 「お帰りなさい、兄弟!」 五虎退が我が本丸に帰ってきた。それも大きな虎を連れて。 上杉謙信公は修行の間に亡くなってしまい、結局3本しか取れなかったらしい。でも、虎はこんなに大きくなったわけだし五虎退も一皮むけたような清新な雰囲気がある。よく帰ってきたな、と頭を撫でるといひひと笑った。 乱も極になりたいらしいが、今のレベルではまだまだな話だ。早くカンストしないとなー、と笑ったら「それじゃあそう言う場所に連れていってよ!!」と叫ばれた。確かに俺は夜戦だも短刀オンリーで連れてくことの方が多いしなあ。 「今度大坂城の包丁藤四郎を探しに行くのと同じ時に7-4が開くってゆうから行ってみるか?」 「えっ、いいの!?」 「ゴコのお披露目に丁度いいだろ。数珠丸もボスマスで迎えられるらしいがそこら辺は運だしな。適当に戦ってこい」 「#名前2#さんありがとう! 五虎退、頑張ろうね!」 「はい!!」 極になった五虎退にみんなはおおっ!?という顔つきで集まってきた。うちの本丸では初めての極だから物珍しいんだろう。と思いきや、五虎退よりも虎を気にする奴らが多かった。まあ、それは仕方ない。世祖が虎の上でこんのすけと共にぐーすぴーと寝ているのだから。 「世祖、どうしたんでしょうか? 虎さんたちが小さかった時はこんなこと無かったのに……」 「あー多分俺たちと観た絵本…つーか、本のせいだ」 「本ですか?」 「うん」 本。なんとなく、読みたくなって何億と売れたその本を買うことにした。リトルプリンセスというタイトルで映画にもなったのだが、映画は見なかった。世祖は本を読むだけでふんふんと頭を揺らしていた。心の目で何かを見ていたのかもしれないし、見ていなかったのかも。世祖のことは#名前2#にはよく分からないがとにかく、虎については世祖はその本を読んでのことだった。 「世祖」 呼ばれるとふいと頭が起き上がって#名前2#の方を向いた。横にいる五虎退にふぃーと手を振ってまた寝てしまう。寝坊助だなあ、と笑うと五虎退も笑った。 「あとで僕にも読んでください」 「いいぞー」 星の王子さまを俺は実を言うと世祖に読み聞かせるまで読んだことがなかった。最後の方は泣きそうになりながら読んでたのだが世祖にばしばしと叩かれるのでなんとか読み終えた。五虎退はそんなことしないが、まあなんとか頑張って読もうと思う。 五虎退、と呼ばれて膝の上に乗った。世祖は既にあの天蓋付きのベッドで寝ているので今は独り占めできる。と、思ったら今剣もやってきた。でも気にしない。今剣がいても五虎退がいても#名前2#が誰かを特別贔屓にはしないからだ。(特別冷遇はありうるが) 「星の王子さま。作、テグジュペリ」 あまり上手ではない王子さまがいる。#名前2#さんは王子といえばいち兄だと言っていたがこの王子はまったくいち兄とは似ていなかった。だがその王冠は確かに王子さまだった。 #名前2#さんの本を読み進める声が心地いい。へんてこりんな大人たちと#名前2#さんを比べてみても彼はどこにもそれらしい1面があって、とにかく色々まぜこぜだなあという印象だ。 「#名前2#さんは、混ぜこぜですね」 五虎退の感想に#名前2#はまじで?と笑って「俺は酔っ払いの気分だけどなあ」と王子さまが嫌だなあと思った人を指さした。お酒を飲んで恥を忘れたい。#名前2#さんもたまにお酒を飲んで強かに酔っ払っているが、いつもじゃない。そんなに酔っ払いであることを強調する必要はないんじゃないかと思った。 「ぼくは#名前2#さんはがくしゃさんだとおもいました。だって、#名前2#さんてばぼくらをはたらかせにいくでしょう!?」 なるほど、と思った横で#名前2#さんはげらげらと笑っていた。そうだな、俺ももう戦場に出ることは少なくなったもんなあ!と叫んだ。そういえば、昔は世祖が泣くと陸奥守さんを持って戦場に3人で出かけていたっけ。懐かしい。今はそんなことしなくなった。 「そうだ、お前ら。この蛇って、沖野さんに似てると思わねえ!?」 うん、確かに。今剣と首を縦に強く振ったら#名前2#さんはやっぱりまたげらげら笑う。そうだよなあ!と嬉しそうに。 「大事なものは目に見えな言っていうけどよ、見えるものは見えるよなあ」 人よりも随分とたくさんの情報が映る目で#名前2#さんは遠くを見た。敵がいるとその気配が目に黒々と映るらしい。だけど今回はそうじゃなかったのか、すぐに僕らのほうに目を向けて「お前達はここにいるもんなあ」と今剣と頭をごつんさせてなで回された。痛かったけど、でも#名前2#さんに大事にされてるんだと思ってちょっと誇らしい。 「ほれ、寝るかー。今度は包丁藤四郎ってゆうまた面倒くさそうな奴がくるらしいからな。覚悟しとけよー」 面倒くさそうという時は大抵の場合、面倒くさくない人だし藤四郎なら大丈夫だ。いつも通り、みんなで迎えればいい。 その日の夢見はとてつもなく良くて、だけど僕は目を覚ますととても寂しかった、