素直のお手本/大人のおもちゃ

※教師主  冗談で言う言葉でもないのだが、俺は人の胸が好きだ。性的な話でもなく、触っていると寝やすい。あの柔らかな質感に意味があるのかもしれない。  寝る前に女の胸を手にしながら寝るとよく眠れるのだ。  この癖のせいで女をよく買うのだが、彼女たちは俺の腕が胸に伸し掛るのを嫌がる。ただでさえ胸が重いのにあんたの腕も来たら嫌なのよ!と言われて「胸ってそんなに重いのか」と驚いた。年増の女を買った時もあるがその時には「あんたってば、赤ちゃんみたいね」と言われた。赤ん坊も胸が好きなのか?と聞くと「胸だけじゃないわよ。お腹とか腕とか。とにかく母親に触りたがる赤ん坊みたいってこと」と返した。  俺は赤ん坊なのだろうか。よく分からない。またある時には、セックスするよりも嫌だわと言われたこともある。そんなに?と聞いたら汗臭いオヤジとファックするよりはマシかもねと言われてちょこっとだけ凹んだ。  まあ、なくても眠れるので困っているわけではない。ただ、そういう変な癖があるという話をしただけだ。  2人で向かい合って酒を呑んでいた状況というのも悪かったかもしれない。俺の前に座っていたバルガスは「なら俺と一緒に寝てみるか」と言うのだった。そこで断らない俺も俺である。酒呑みはタチが悪い。  女と寝るようにしか考えてないから俺とバルガスが寝っ転がると相当狭かった。バルガスは服は脱いだ方がいいか?と言うので好きなようにしてくれとお願いしたら意外にも真面目にゲスト用のパジャマを着た。 「お前もパジャマ着るんだ」 「汗をかくとシーツの洗濯が面倒だからな」 「わかる」  今から胸を触るというのにこんなふざけた会話をしていてよかったのか謎だがバルガスは気にしてないようだった。先に布団に入るとバルガスも隣に入る。ボタンは?開ける?と甲斐甲斐しく質問してくるので「本当に寝てるだけでいいんだ」とお願いした。  バルガスは何の躊躇いもなくベッドに入ってきた。ごめん、と一言いってゴソゴソと手を伸ばす。バルガスの胸は筋肉があり、胸毛があり、女の胸とは全く違う。筋肉質でもっと硬いものだと思っていたのに自分の想像以上にやわらかかった。ピンとたっている乳首を指に絡めると「おいッ!」とバルガスが声をかける。 「ん、ごめん……。つい、女としてる時の癖で」 「い、いや……。うん、ビックリしただけだ。触りたいなら別にいい」  バルガスは俺も寝るからな、と腕で顔を隠してしまった。俺も寝よう、と思いながらこれまで触ったことのない胸の感触に寝るに寝られなかった。  #名前2#が女をよく買って呼び出していたのは知っていたが、まさかセックスではなく胸をもませて欲しいと頼んでいたとは……。しかも前戯でもなく、単純に寝るためのもの。赤ん坊かお前は、と思ったがある意味チャンスでもあった。#名前2#に自分を売り込むと顔を赤らめた#名前2#は「えー、お前女になってくれんのー?」とフェミニストに怒られそうな言い方をする。合っている。合っているが。  今日は大していい下着を履いているわけでもなく、#名前2#の前に見せたくはなかった。#名前2#は酒を大量に呑んでいてどうせセックスなんてやれるはずもない。ヤれるチャンスはいくらでもあったはずなのに、なあなあとここまで来てしまったのだから情けない。  #名前2#の部屋に行くと予想以上に彼の臭いが頭に襲いかかり倒れるかと思った。一緒に寝るのに流石にシャワーを浴びたい、と言ったら#名前2#は心配そうな顔で「お前……ぶっ倒れるなよォ?」と俺の肩に絡みついてきた。ゆっくりと#名前2#の腕を外してソファーに押し戻す。ゲスト用のパジャマ用意しとくなあ、と呑気な声が聞こえた。  シャワーを浴びると#名前2#と同じボディソープを使わなきゃならないことに気づく。恥ずかしさをこらえて頭と体を洗って出るとバスタオルと何故か用意されているバスローブ、アイロンのかけられているパジャマがあった。この所帯じみた感じはやはりセックスのセの字も感じられない。分かってはいたのだが少しだけ寂しい気持ちで着替えた。ドライヤーで急いで髪の毛を乾かしてベッドルームに行くと#名前2#は既にベッドに寝そべっていた。  俺が何かしたほうがいいのかと聞くと何もしなくていいと言う。ベッドに入り横になると#名前2#の手が動いて俺の服の中に入ってきた。クリームでも塗ったのか少しだけべたべたしていた。#名前2#に近い方ではなく遠い方の胸を掴まれて「そりゃあ女からは嫌がられるだろうな」と思った。  男の手のひらで胸が揉まれる。想像していた以上に変な感触であり#名前2#だということを意識してしまってよくない。#名前2#の指が乳首をつまんだとき何かと思った。変な声が出る前に気合いで呼び掛けに変えた。#名前2#はへらへら笑ってごめん、と謝る。#名前2#にはそういう意図はないのだ、と自分に言い聞かせて眠ろうとした。#名前2#も黙って目を閉じてしまう。手はやっぱり動いた。胸をもむし、乳首がつままれる。指ではさんでゆっくりと手が動く。愛撫ではない。なのにどうしても気持ちよくなってしまう。少しだけ泣きそうになりながら我慢して夜を過ごしたのだが、翌朝#名前2#はすっきりとした顔で「女よりも良かったわ!」と言うので絶対に明日も我慢しよう、と思った。 書きたかったのに書けなかった前戯の話もしていい? いいって? やったー!  あんなに二人で寝ていたベッドなのにいざ、そういう事をすると考えると恥ずかしくてしょうがない。#名前2#が本当にそういうことのために俺に触れるというのも変だ。いや、変じゃない。変じゃないが。 「バール、服ぬがしていいか?」 「あ、ああ……」  ひとつひとつボタンが外されて体が開かれる。#名前2#は欲にまみれた目付きで俺の体を撫でた。綺麗に、綺麗にしたつもりだ。#名前2#はいつもあった胸毛がカットされてるのを見てニマニマとしている。「俺のため?」なんて分かりきったことを聞いてくる。ゆっくりと頷く前に#名前2#は俺の胸をゆっくりと揉み始めた。いつもとは違う。本当のセックスの触れ方だった。今まで触られていたせいか既に反応していた乳首をひっかかれた。 「ぁう♡ うっ♡ はぁっ……♡」 「バールの胸、本当に好きだわ。すぐに気持ちよくなっちゃうもんなぁ」  そういう訳じゃない。#名前2#が、今までずっと弄りまわしたからだ。そんなこと言えるはずもなかった。片側をゆっくりと揉みながら片側はこりこりと弾いてくる。俺の体がビクビクと反応するのを#名前2#は楽しそうに見ていた。脱いでないズボンがじわじわと濡れてきた。#名前2#がそれを見て嬉しそうに笑っている。 「えらいなぁ、バール。えらいえらい」 「んっ、えらぃ……?」  子どもみたいだった。#名前2#が顔中にキスをふらす。乳首だけでこんなになってるのに、それでもいいんだ、なんて馬鹿みたいなことを考えた。