同じ額縁へおさまりたい
!クロウリーと男主が同僚(クロウリーよりも年上ですが) クルーウェルが生徒という捏造に捏造を重ねた時代設定でお送りします 先生に会うためにこの学校にきた。自分にはこの人しかいない、と強く思っていた。なのに、その先生には親友という人がいた。 「#名前2#先生、今大丈夫ですか」 「ああ……。どこが分からないんだ」 先生は生徒に甘い。こうやって人を呼び出すくらいには甘い人だ。俺はそれを使って先生のもとに会いに行く。先生のところにいると高確率でクロウリーという人に出会う。いつも仮面をつけて変な話し方をする先生だ。#名前2#先生はその人と仲が良くてティーパーティーをするのはその人とだった。 「この純粋な青を作る方法が分からなくて」 「ああ……青を作るにはかなり手順が込み入ってるからな」 #名前2#先生はよっこいしょ、とまるで中年のような声で立ち上がった。#名前2#先生の年齢は聞いたことがない。そんなことはどうでもよかった。#名前2#先生に認められる魔法士になれればよかったのだ。先生が細かな手順を教えてくれる間、先生のしわくちゃの手を見ていた。この手がとても好きだ。大きくて、仕事をしていた人の手。先生は手袋をつけることがトラウマらしくて危険な薬品も素手を使ってしまうらしい。魔法で治してもこの程度にしかならないんだ、と#名前2#先生は言っていた。 ゴーストマウスの歯を砕いたものに地中カエルの粘液をティースプーン1杯。煮えたぎった湯の中に入れるものはまだまだある。これらを花の栄養にするらしい。 「先生は花はお好きですか?」 「まあ、それなりにかなあ」 「好きではないんですか?」 あんなにきれいに薔薇を咲かせているのに。ハーツラビュル寮の薔薇の手入れは#名前2#先生のおかげだ、と有名だ。先生が栄養素を作ったところでコンコンとノック音がした。#名前2#先生はどうぞ、とすぐに声をかける。クロウリー先生がきたのだ、とすぐに分かった。 「#名前2#、君に手紙が来ていたぞ」 「ああ、どうも。ありがとうございます」 クロウリー先生じゃなかった。#名前2#先生はちょっとしょんぼりした様子でソファーに戻ってきた。#名前2#先生はクロウリー先生を待っていたのだ。それが分かるとちょっとだけ寂しかった。 「……先生、すみません。これで失礼します」 「あ、ああ」 出ていかなきゃ。先生の邪魔にはなりたくなかった。部屋を出ていき、慌てて自分の寮に帰った。#名前2#さん、と部屋でしか呼べない名前を呼ぶ。悲しいけれど、寂しいけれど。我慢しようと思った。 卒業したあと俺は#名前2#先生が教師を引退したことを知った。引退のパーティーは予想以上に盛大で#名前2#先生が色んな人に愛されていたのだと知った。俺も先生にサインと写真をもらおうと思ったら「クルーウェル!」と想像以上に明るく言われたのでビックリした。 「よかった、来てくれて」 「は、はあ……」 「クロウリーが学園長として就任したんだが、俺の後任をちゃ?と見つけて来いってうるさくてな」 あの人なら言いそうな事だった。 「それで、お前を推薦しようかと思ってな」 「え、」 「どうだ、やってみないか」 俺はその差し出された手をとるしかなかったのである。 そして月日が過ぎて#名前2#先生はもうこの学園を後にしてからクロウリー先生はある夜に俺の部屋にやってきた。ビールでも飲まないかと誘われて断ることもなかろうとバーに連れてこられた。俺のことが羨ましかったとクロウリー先生が言うので思わず吹き出してしまった。 「……あんたも、そんなこと思うんですか」 「当たり前じゃないですか!! #名前2#は特に貴方のことを話すことが多かったので。それにやけに熱心に通いつめていたでしょう? 生徒だからといって近づいて。いつも嫉妬しそうな気持ちでいっぱいでしたよ」 それなら俺だって、と思った。クロウリーを待っていた#名前2#先生のあの顔はどう見ても恋人を待つ顔だった。 「……#名前2#先生とは、お付き合いされてないんですか?」 「え? ええ。私と彼はただの親友ですから」 なるほど、それなら自分にもチャンスはあるというわけだ。クロウリーはにっこりと笑ってクロウリーにもう一杯酒を奢った。 「#名前2#さんに」 呼び方を変えて乾杯する。諦めなくて良い恋ならば、クルーウェルとて我慢するつもりは無いのだ。 !ネームドオリキャラいます 全国陸上競技大会。それが行われる時に#名前2#さんが学校に来ると聞いて朝から緊張していた。いつ先生は来るのだろうか。最初の頃は補佐役として入った私はもう既に立派な教員となった。生徒たちに舐められる、と一人称も変えたのだ。#名前2#さんは、私のことを、褒めてくださるだろうか。 トイレの鏡で髪の毛と服とをもう一度確認する。いつも通り歯磨きもしたしデンタルフロスもした。コロンもつけた。完璧のはず、だ。 「クルーウェル先生……!」 「! な、なんだ。お前たちか」 「何だじゃないですよ。植物園で育ててたショウキカズラが客を食べたって騒ぎになってるんです」 「急いできてください!」 トレイとレヴィに叫ばれて慌てて植物園へ行った。折角#名前2#さんに実力を見せるチャンスだと言うのにトラブルが起きたら困る。植物園の熱帯ゾーンに行くと人の叫ぶ声とよく聞いた声が聞こえてきた。 「ほら、落ち着いて。君の涙が好物だぞ、こいつは」 「ひっ」 「だからわざと笑ってやりなさい。笑いに含まれている脳内物質か電気だかがこいつは苦手だよ」 ふっと先生の魔法がかかった。ユニーク魔法は音楽を流すこと。いつも不機嫌そうな顔をしていた先生には変な魔法だと思っていた。老人になった先生は穏やかな笑みで捕まっている少女に話しかける。 「もう降りてきた。大丈夫、この手を掴めるかい」 昔の私が見ていたあの#名前2#さんではなかった。歳を重ねると人はこうなるのだろうか。私にはよく分からなかった。#名前2#さんは私を見るとにっこりと笑った。 「デイヴィス、久しぶりだな」 その時の笑顔はやっぱり私の知っている#名前2#さんで私はなんと答えればいいのか分からなくなってしまった。 「クロウリーから話は聞いてるぞ。無事に先生をやってるって」 「無事ってなんですか……。問題児たちを制御できてるって意味なら受け取りますけど」 「まあそんな感じだよ」 #名前2#さんは陸上部の活躍を見ながら「若いヤツらはいいよなぁ」とひとりごちた。今だって若いじゃないですか、と言うと#名前2#さんは「俺はもうダメだよ」なんて笑う。たしかに少し見ない間に昔のトゲトゲしさというか、張り詰めた糸のような雰囲気はなくなったけれど。それでも自分の好きな#名前2#・#名前2#という人はそこにいた。 「クロウリーがな、招待してくれたんだ」 「学園長が?」 「本当はもうここに戻るつもりは全くなかったんだが。どうしても、とクロウリーに誘われてな。そんなに言うならって来てみたわけだ。今年の新入生の活躍はすごいな。あいつ、もしかして自慢させたかったのか?」 #名前2#さんは楽しそうに私に話しかける。先生は、ずるい。私を喜ばせたと思ったらまたすぐに学園長が私のことを消してしまう。甘い誘いは一瞬で、すぐにそこが殺されるための場所だと気付かされる。 「……。#名前2#さんが、来てくれて俺も嬉しいです」 私はそう言うしかないのだ。