お前はときどきちょっぴりヘンだ

!ツイステ世界、たぶんインチ法なんですけど計算が面倒なのでメートル法です !IKE@はないけどそれっぽい家具屋さんはある 「#名前2#くんもこのサメぬい買えば? めちゃくちゃ可愛いよ~~」  クラスメートのヴィクトールにそう言われてオススメされたのはものすごくデカいサメのぬいぐるみだった。 「こ、こんな邪魔なのいらない」 「は? え? あ、っ、ごめん。これ拡大魔法かけてる。本当は大体1メートルちょいかな」 「あ、そうなんだ」  サメぬい。一時期噂になったというぬいぐるみだ。サメというと人を食うぞーみたいな悪いやつのイメージが強かったけれどこのぬいぐるみはそのイメージもなく、可愛い顔をしていて何よりもふわふわしていた。 「拡大しておくとこんなことできる」とヴィクトールが動画を流してくれた。せーのっと声をかけてヴィクトールがジャンプしてサメのぬいぐるみに突撃する。ぼふん!と音を立ててヴィクトールがぬいぐるみの中にしずんでいった。 「おーふぁい!! あぃうぉんおひーふぁっく!!!」 「なんだって??」 「I won't be backって言いたかった」 「ターミネーター?」 「そう」  ヴィクトールがそういうネタを好きなのは知っている。ターミネーターは見たことないけれどI'LL BE BACKのセリフは聞き覚えがあった。俺、映画見たことないんだよねと言うと「知ってる。興味なさそうだし。だからサメのぬいぐるみの方を推してる」と言われた。好きなものをオススメするのが人生!とまでいうヴィクトールに言われてるんだからきっといいものなんだろう。自分も購入することにした。この時、自分の部屋に置いとくのならベッドか椅子に立てかけるとかそんな感じになるなあと予測をしていただけで、恋人のことはすっかり忘れていた。むしろ恋人はライオンだということを忘れていた。 「#名前2#。こいつはなんなんだ」 「……? サメのぬいぐるみ」 「それは分かってる」 「??? なら、どうしたのさ」 「なんでこれがソコにあるのかって聞いてるんだ」  そういってレオナは俺が抱えているサメのぬいぐるみを見てイライラしたような声を出す。いや、隣に座ろうって声を掛けたら嫌だって言ってたのはそっちだからな……という言葉は飲み込んだ。レオナが俺の部屋に来るのに「なんだこのボロっちい家具は」と言ってソファーもベッドも買い替えられたのはいい思い出だ。新しいソファーセット(二人掛けのものと一人掛けのものがセットで購入された)に折角だから、とレオナを呼んだらコイツは「はあ? これは俺が寝る用だ」とかなんとかで二人用のそれを占領し、俺は一人掛けに座るという経緯があった。普段はうちのサメぬいはそのレオナの席に置いているのだが今日は邪魔になってしまうと自分で抱えていたのだ。 「……邪魔だから置いてこい」 「えーー、抱き心地いいんだよこれ」 「はあ??? 俺の髪の毛触ってから言えよ」  ほら、とおとなしく背中を見せたレオナを見て「今このケンカって何が原因だったっけ?」と疑問になってしまう。おとなしくレオナの髪の毛を触るととてもフワフワしていてよかったが、うちのぬいぐるみだってやわらかい撫で心地をしているし何より大きくすれば沈むくらいにフワフワなのである。 「俺の髪の方がー」 「い、いや。俺のサメぬいの方が可愛い」  レオナの言葉をさえぎったとたん、ひゅっと空気が冷たくなった。なんでこんなケンカを始めたのかもう分からないけれどとりあえず俺のサメぬいは砂になんかさせない、死守してみせる。