悪い子でも愛して

※♡喘ぎあり注意  ホワイトデーのお返しには何がいい?と聞かれたので男はにやりと笑って「君とはどうせどこにも行けないじゃないか」と言う。 「まあそれもそうだけど」 「なら別になんでもいいよ。そうだなあ、君の全財産をもらうとか? それで私を買うってのはどうだい?」  その言葉に#名前2#は嬉しそうに笑っていた。悪い子め。子、というにはあまりにも年をとった男に#名前2#はそのままキスをした。あまりにも自然なキスの仕方にキスされた男の方が慌ててしまう。若造が、と思いながらベッドに横になると腰は平気?とデリカシーのない言葉が聞こえた。 「君にやられるといつも腰が痛むヨ」  不機嫌な声が出てしまった。自分らしくもない。  #名前2#は英霊っていうのは面白いなと笑った。彼には偏見などを持って欲しくなくて本名を教えてない。新宿のアーチャーという名前が彼にとっての私のラベルだ。ホームズはそれを見て何か言いたそうにしているが何も言わなかった。  #名前2#がクッションを腰の下にあてた。体をよじらせてベストポジションを探る。腰だけ上がると居心地が悪い。その姿をどうとったのか、#名前2#は先に普通のマッサージしようか?と言い出した。そんなのどうでもいい。せっかくの誘いは存分に楽しみたいものだ。 「メイクラブ、するんだろう? 紳士なら誘いは受け入れるべきだね」  クイーンズイングリッシュでメイクラブと言われて#名前2#はきょとんとした顔を見せた。いつもホームズの発音でなれているはずだが?と首をかしげたモリアーティに#名前2#はかああっと顔を赤くさせた。そのタイムラグになんの意味があったのかすぐに分かりこちらもやっぱり赤くなる。 「うん、そうだね。メイクラブだ」  古典的な表現であるが1番美しい表現だとモリアーティは思っている。年若くファックしよう、などとはアラフィフには言えないのだ。#名前2#は喜んだ顔でキスをした。舌を交わらせた深いキスだ。性急に洋服を脱がそうとする手が愛おしい。意地悪く手を丸い頭に回すと髪の毛をひとふさ引っ張ってみせた。 「んっ……はぁ、なに?」 「なんでもないヨ」  ただじゃれてみたかっただけだ。#名前2#と自分の年の差が恨めしい。この老いぼれの体は#名前2#の瑞々しく輝いた体に萎縮してしまうのだ。彼ほど美しい男をモリアーティは見たことがなかった。惚れた欲目も甚だしく、モリアーティは#名前2#は世界で1番の男だと思っていた。そんな男が自分を抱くという事実に嬉しさもあり気恥しさもあり愚かしいと自嘲する気持ちもあった。このじゃれつきはそんな思いを込めたものだ。  髪の毛を引っ張り指を絡め視線を絡める。啄むようなキスと少しだけ聞こえる息遣いにらしくもないほどに感じてしまっていた。好きだ、と心から感じるこの瞬間が何よりも尊かった。 「アーチャー、俺もいつかはお前より年寄りになる」 「……そうだね、知ってるよ」 「だから、それまで俺と一緒にいて欲しい」  一瞬何を言われたのか分からなかった。彼とてアーチャーという名前を呼んでいるのだから組み敷いた男が英霊であることなど百も承知だろう。 「ずっと一緒に居てくれ。愛してるんだ」  愛してるなんて、初めて言われた。顔が暑い。#名前2#のことを見てられない。ダメか?と聞いてくる#名前2#の肩に顔をうずめた。イエスの声は掠れていた。幸せは心を暖かくする。 「っ、……はあっ…♡」 「息して、ちゃんと。しんどいならやめる」  #名前2#は女ではないしましてや男を受け入れたことも無い。立場がうんぬん、役割うんぬんではなくアーチャーがそれを求め自分も応えたのだ。アーチャーが俗に言ういい人ではないことは知っているが#名前2#とて聖人ではない。一方的に暴いてみたいし、何も気にせず腰を打ち付けてやりたいと思う時もある。暴力じみた愛を必死に押し込めて相手を尊重したセックスをするのだ。痛みと苦しみと愛情と執着と。色々なものを受け止めてくれる彼のために自分も誠意を見せるのだ。そう思うと自分の高ぶりなどどうでもよくて、ただアーチャーに気持ちよくなって欲しいという気分になる。  美しい肌に手を這わせキスをした。キスを好きになったのはアーチャーと夜を共にしてからだった。性的快感は少ないかもしれないが気持ちが繋がった感覚がするのだ。膝の内側を持ち上げた。唇で噛むように動かす。 「ひいっ、うぅ…♡」 「大丈夫か? まだ条件付する?」 「も、もういい! 早く中に入ってくれ!」  残念、もう少し貴方の足を可愛がってあげたかった。キザなセリフを吐きながら#名前2#は腰を持ち上げた。アーチャーの体を気遣うようにバックで挿入するのだが、ふとした時に顔が見たくなる。抱きしめて欲しいと思ってしまう。体重をかけないように体を屈めた。奥深くに入り込んだソレにアーチャーの喉が唸った。おそるおそると振り返った彼の顔の美しさに#名前2#は自分の理性が焼かれているのを感じた。糸が切れるなんてものでは無い。暴走するようなそんな燃え方だった。アーチャーにしがみつき、#名前2#は彼の体をひっくり返した。抜かれた、挿入された。アーチャーには何が起きたかも一瞬わからなかっただろう。 「ごめん、ダメ、やだ。離れたくない」  さっきまでの優しい考えはどこかに行ってしまった。なぜか突然好きという気持ちが溢れていた。 「いいよ、#名前2#くん♡」  その優しげな言葉に#名前2#はまた高ぶる熱が頭に走っていくのが感じた。ああ、何か受けている。彼に何か仕掛けられている。だがそれに対して嫌悪感などはなかった。脚をつかみ自分の腰に回した。密着したそれにくひ、とアーチャーが笑う。 「ごめん、もう抑えられない」  一言謝ってから#名前2#は腰を動かし始めた。ゆっくりとしたそれは次第に熱に浮かされてどんどん早くなっていく。奥に奥に行こうとしては何かに当たっている気がした。ぼうっとした頭ではそれが結腸の入口であることにも気付かず、ただこの男の体を侵略して暴いてみたい気持ちに駆られていた。  アーチャーの声も聞こえてはいたがだからどうした、という気分だった。 「ヒ、あっ…ぁあ゙っ、そこは……♡♡ あぁ、奥、ムリ…ッ♡」 「#名前2#ぐん…、イッたばっか、ぁあっ♡ はぁっ、うっ、んん〰〰っ!」  ただ彼がこの熱と欲望に耐えてくれるかどうかが心配だった。  終えたあと、体を拭いてゴムを捨てた。洗濯しておいたパジャマを渡すとアーチャーは疲れた、という顔も隠していなかったが「ありがとう」とお礼を言った。 「…すまん、勢いに任せて」 「いいや、こっちも君を実験台にしたからね」 「は?」  パジャマに着替えながら新宿のアーチャーはカルデアスタッフにサーヴァントのスキルが使用できるかどうか実験していたらしい。あの熱はそういう事か、と納得した#名前2#にアーチャーはにやりと笑ってこう言った。 「そう言えば、君は納得してくれるかな?」  ぼすん、と枕で叩くと痛いよ!と怒られた。全く、そう言いたいのは自分の方だ。明日は絶対自分の腰も痛いと覚悟して#名前2#はアーチャーを腕に抱き眠りについた。額へのキスは謝罪と思って何も言わずに受け取った。  ただ何となく、ダ・ヴィンチから貰ったクスリを#名前2#に飲ませてみた。何も聞いてない方が効果を確認できるのでそのまま。たとえ#名前2#が死んでも自分の気持ちに変わり無かったらモリアーティはこの男に恋をしてるという証明になる。どうしたってモリアーティの一人勝ちだ。  サーヴァントにはパジャマに着替えなければならないギリはない。眠ることすらも必要ないのだから。しかし#名前2#はアラフィフだと笑うモリアーティを気遣う。その瞳の奥が暖かいもので光っていた。これは憧れなのか愛なのか。モリアーティもよく分からないまま#名前2#の告白を受け入れた。#名前2#は気のいい男だった。笑えるし仲間思いだし好かれる男だった。いつしか、なぜ好かれてるのか分からなくなった。ふとしたことが原因だったと思う。それは積もりに積もってモリアーティの心に壁を作った。モリアーティは自分の年齢に嫌気がさしてきた。もっと若かったら#名前2#にも釣り合うだろう。そう考える自分にいつからそんなに惚れ込んだ?と首を傾げてしまった。  結果としてそのクスリは媚薬的なものだったらしい。もしくは自分の欲望に素直になるものなのか。所々につけられたキスマークというものにふふっと笑みが零れた。弄ばれてるというのに簡単に自分を許した#名前2#にそっとキスを送った。#名前2#は眠ったままで気づかない。モリアーティはまた叱ってね、と笑った。