三日月宗近の話

 三日月宗近は天下五剣の名に相応しくあろうとかそういう気概のない男だった。名声を苦しいとも辛いとも思わない。なぜならそうあるべく三条は自分を作ったからである。そのことになぜ気負わなければいけないのか?三日月ほどのネームバリューのない刀剣男士たちからすればそれはまるで世間知らずな勝気な男の傲慢なセリフと感じられただろう。  主をとんと欲しいと思ったことは無い。自分が自分であればよいと思っていた。小狐丸のように自分だけの主をほしがることも、石切丸のように信念を貫くために戦うわけでも、岩融や今剣のように主に名声を与えてやろうという気持ちもない。穏やかなそんな気持ちだった。穏やかよりもさらに深く静かで深海に沈んだらそんな気分になりそうだった。 「ほおーう、お前が天下一美しい刀か」  是と三日月は答える。初めて出会った主は背だけが異様に高く小さな目玉をキョロキョロと動かす醜男だった。まるでどこかの館に飼われた下人のようだ、と三日月は思った。常識という名の知識も持たない刀であったからだろうか。三日月は主に好かれなかった。主は面白い刀を求めていたのだ。この面白いとは今で言うオモシロオカシクというような可愛らしいものではなく面に血の気が回らなくなり白くなるほどに絶望に立たされるだとかそういう類を好んでいた。  記憶のない鯰尾や骨喰、燃やされた一期に主殺しの薬研、沢山の刀を寄せ集めていまを完成した同田貫。とにかくそんな刀たちの古傷をほじくり出しては臆さずに千本の針をじわじわと突き刺すようなことが好きな主だったのだ。三日月には主の好くような話題はない。 主に愛されたい、という加州はもっと悲惨であった。戦いの最中に折られたことは主にとっては甘い話でわざわざ人に言ってどうする?と目玉をきょろりと動かしたのだ。主は性格の悪い人ではない。趣味が悪いのだ。  刀たちには平等に出陣させ、手入れをあたえ、話しかける。具合が悪ければ研ぎ師を呼んでやり、短刀たちと遊ぶこともある。ただ趣味だけは異様に悪かった。のちのち精神的ブラックと呼ばれる最初の被害を三日月たちは被ることになった。  主は嫌われてはいなかった。好かれていなかっただけだ。いや、主としては好い人だったと言えるのだ。不可などなかったのだから。だがその好すぎる結果は奇特なことに世間に嫌われたのである。三日月には刀としての考え方しか持たない。主に好かれないということが刀剣男士にとってどいうことなのか分かっていなかったのである。小狐丸にはそれが哀れでならなかった。  結局。三日月は周りに言われて主を殺すことにした。どうせ刀剣たちにも好かれていなかったのだ、ただ主を生かしておいたら他の誰かに迷惑がかかるだろうと殺した。三日月たちは本丸を壊し、新しい主のもとへ行くか刀解するか選ぶこととなる。三日月は役人に色々と長い説明をされたがどうにもよく分からず保留という形で新しい本丸を見て回ることになった。主殺しという刀剣男士として犯してはならない領分、つまりはタブーを犯してしまったのである。こびりついた穢れを本霊が許すはずもなく、有耶無耶に三日月は保留になった。  そんな三日月を哀れに思ったのか小狐丸が一緒に残り政府の役員と名乗る「オキノ」という男に連れ添って本丸を見て回った。だが、どうもピンとこない。なにがおかしいのか、それは三日月にもわからないがおかしいのは確かだ。陶芸家が心に合わない作品を叩き割るように三日月は総合評価の高いー審神者たちにホワイト本丸と呼ばれるー本丸を切り捨てて次を見せて欲しいと言うのだった。オキノはさいごのさいごである本丸へと連れてきた。あまりいい本丸ではない、と言うのだ。だが見ないと分からないと三日月が説き伏せてなんとか連れてきてもらった。 「世祖?」 「#名前2#、にゃんにゃー」 「にゃんにゃ?」  男が童女のもっていた不気味な人形を手に取った。人形からは笑い声ともつかない「くきゃらららら」という声が。童女は笑いながら「にゃんにゃー。にゃんー。にゃーにゃー」 「おー、これネコなのか。ぶっさいくだなあ」  男は人形を手に取るとぶんぶんと振り回す。中に何も入ってないことを確認すると「こいつぁ、世祖。お前には向かないやつだな」「うん?」「石切丸のところに持ってくから」  石切丸とは、懐かしい名前を聞いた。小狐丸も同じことを思ったらしく「この本丸は石切丸がやりたいようにやっているのか?」とオキノに尋ねた。 「うん? …まあ、そうなるっちゃなるのかなあ。彼には少し大変かとも思うけどね」 「なんだ、その言い方は」 「小狐よ、そう怒ることはないだろう…」 「しかし、三日月…!」 「ここはいわゆるブラック本丸にいた刀剣男士を引き取っていたところなんだよ。ま、昔の話さ。今はそんなことやってないよ。石切丸も今は穢れを取り除けるように1日数回祈祷を行うだけみたいだし。それが性に合ってるんだからいいんじゃないかい?」  オキノの言葉に小狐丸は少し怯んだ様子だったが、すぐに顔を鬼のようにかたくさせて「ここの主が、前の男と違うという確証はないのだな」と言った。これまで説明された本丸のように今までの功績や経歴を聞いていないのだ。俺はそんなこと気にしていなかったが、小狐丸にとっては重要なことらしい。  今すぐにでも噛みつきそうな顔で言うので、オキノは面倒だという表情を顔に出したまま「聞かせるようなことがないんだから仕方ないだろう? ここの審神者は特別なんだよ。君たちと同じ希少価値が高い人間なんだ。おいそれと主殺しを滞在させるわけにはいかない」と言う。  俺が主殺し、か。また面倒な異名がついたものだ。天下五剣が一振り、日本一美しい刀、そうもてはやされたことが今では遠い昔であると心が枷をつけられたように重く沈む。ここも、ダメだな。先ほどの光景はいやに目についたのでもしかしたら、と思ったのだが。 「まあ、君たちがここを指名するならそれでもいいさ」 「世祖、待ってくれ!」  声が、かさなった。とつ国の技術か何かは知らないがとにかく今の俺たちはここの審神者には見えていない。審神者かは知らないが、刀剣男士ではない童女は俺の横を桜を片手に走り去る。そして追っていく男。ふんわりと香ったのは安らぎを与えるような…説明できない、なにかだった。ただ前にも感じた気もする。それがいつ、どこでかは覚えていないのがはがゆかった。 「見つけた」 「ん、どうした。三日月よ」 「小狐、俺は決めた。この本丸に世話になる」 「はぁ!?」 「おやおや。それで、決め手は?」 「惚れた者がいる」 「ッな…!?」 「いい理由だ。君たちがこの本丸に下げ渡されることを、認めよう」  三日月宗近はその香りの正体をいまだに思い出せていない。ただ、近いうちに分るだろうという得体のしれない気持ちがあるのは確かであった。  鍛刀部屋に行く前に#名前2#は世祖に引っ張られて刀を保存していた蔵へとやってきた。物吉や明石、日本号がガタガタと蔵を揺らす。いつの間にか沖野が蔵を拡張したらしく3振りはその巨大な蔵には似つかわしくないちっぽけな存在に見えた。 「これ、出す」 「明石を?」 「ん」  #名前2#は明石国行を世祖の前に持ってくる。ちょん、とつつかれた手からふわりと桜の花が舞って演練場でよく見る明石が現れた。ただその表情はぶるぶると震え何かをいいたそうだったが。 「んで、こんなに顕現させるの遅いんですか!!」 「すまんすまん」  ここで世祖に噛みつかない辺りが彼を保護者と髣髴させるのだがその洋服からはだらしなさの方がよぅく伝わってくる。と、噛みつく明石を見て世祖が泣き出してしまった。 「!!?」 「世祖、まて、泣くな…!」  #名前2#の制止も聞かず、世祖は大声で張り上げた。びきり、と嫌な音がして明石の腕にひびが入る。防衛本能が敵と判断したものに一斉に襲いかかっているのだ#名前2#は世祖を自分の服の中に丸め込むと「明石、着いてこい!」と叫んで蛍丸と愛染のいる部屋に飛び込んだ。 「愛染、お前のセキュリティ毛布貸してくれ!」 「んあ?」  夜戦で疲れている愛染のもとに#名前2#は飛び込み、抱き枕で世祖の顔をうずめた。後からやってきた明石は「何やっとりますの…?」と懐疑的な目で#名前2#を見る。 「お? おぉ、明石じゃーん」 「じゃーん、じゃないどすわ。何なん、この事態は」 「んー、俺の抱き枕がとられた…」 「抱き枕? それと、さっきのせ…なんとか毛布って…」 「セキュリティ毛布。眠れない愛染のために#名前2#さんが買ってくれたんだよ」  奥のふすまが開いた先には蛍丸がむっすりとした顔で立っていた。 「今日はこっちで寝れないね。国俊、俺太郎太刀たちと一緒に寝るね」 「んー、ごめんなあ」 「すまねえなあ、蛍丸」 「別にいいよ。世祖のことは仕方がないって思ってるし」  置いてけぼりになった明石は蛍丸と愛染のちがはぐとした雰囲気に口を挟みたかったが蛍丸はさっさと話をつけると明石を連れて部屋を出てしまった。すっと障子が閉まると勝手に結界が出てきてピリピリと音がする。恐る恐る興味本位で触ろうとした明石に蛍丸は「やめときなよ」と声をかけた。 「ダメなんですの?」 「レベル1の明石じゃすぐに重症になるよ」 ー重傷か。そんなに攻撃的な結界なのか。  明石と蛍丸の言葉の違いに気づかずに2人は太郎太刀と次郎太刀のいる部屋にやってきた。同じ大太刀としてあてがわれた部屋だったが蛍丸は愛染と一緒にいたいと言って新しく部屋をもらっていたのである。なので、ある意味ここは蛍丸の第二の自室だった。 「あら、蛍丸じゃないの」 「6-4行ってたの? お疲れ」 「あはは、アタシがいた方がルート固定できるから仕方ないよぉ。それに大太刀の中でも練度ひっくいしさ」 次郎太刀は大太刀の中でも来るのは遅くなかったのだが続けざまに来た太郎太刀と蛍丸にすぐに練度を追い抜かれて彼だけはいまだに80代のレベルだった。 「あら? そちら新人さん…って明石じゃないか!」 「ど、ども…」 「あんたを回収しても顕現させなかったからみぃんな鞘付きのアンタしか知らないのよねえ。あ、私次郎太刀ね。次郎でいいわ」 「明石国行どす」 「明石を顕現させたってことはぁ、もしかしたら何かあるのかもしれないわね」 「何かって、なんですの?」  質問をたくさんしなければいけないこの事態に明石は内心いらいらしていたがひよっこである自分は仕方ないとも思っていた。蛍丸は文机から紙をぺろりととってくると明石の目の前に突き付けた。 「本丸内の規則…」 「ここの主さんの世祖はね、ちょおっと扱いが難しいからこうやって規則つけてんのよ。いつもは新人に教育係をつけるようにするんだけど……」 「世祖が泣き出しちゃって#名前2#さんかかりっきりだから」 「それじゃあたぶん薬研とか加州辺りが本丸のことを教えてくれるねえ。とりあえず1日目なんだし、蛍丸と一緒にゆっくり休みなよぉ」 「俺もそれがいいと思うな」 「そうでっか? まあ働かなくていいんならそれでいいんですけど」 「働くかもしれないけど、こうやって世祖が動き出したからには何か起きるんだよ。それが終わるまではたぶん明石の出陣とかないと思うな」 「遠征はあるかもだけどねえ」  明石は面倒な本丸だ、とため息をつきながら紙を見るとばりばりっと文字が自分の頭を食い破ってきた。 「!!?」  文字通り食い破られた頭の中に情報が詰め込まれていく。助けを求めるために伸ばした手は次郎と蛍丸に届かず2振りは懐かしいとでも言いたげに明石を見ていた。ぐちゃぐちゃになってゲホリと息をつけたのはそれから20秒後のことだった。体感時間は何時間もかかったように感じる痛みだったが。  蛍丸は倒れこんだ明石の額に手を当てると「大丈夫? ちゃんと入った?」と聞く。 「な、何ですのこれ……」 「世祖が作った記憶投入装置だよ。新人にいちいち教えるの面倒だからって作ったみたい」  蛍丸はなんでもないようにそう言うと明石の手をとって「薬研たちに挨拶するのは食事でいいよ。さっさと大広間に行こう」と明石の背中を押した。面倒なことになった、と先ほどよりも強く思った明石はずるずると気が抜けてもはや倒れこみそうだった。  翌日になってもこんのすけは帰ってこなかった。何かあったのだろう、と思いながら世祖と#名前2#は昼近くになってようやく行動に移していた。鍛刀部屋に着くと三日月が素材用の木箱に入れられた天下五剣を撫でながら「俺が使われるのだな」と驚いたような見当のつきにくい声色で話した。#名前2#はあまりそのことに気をかけるでもなく「おう、だけど失敗しちまったからな。今から顕現させるんだ」と言った。  #名前2#の悪いところはそうやって人の地雷を踏み抜くところにあるので世祖はこの穢れをまとった刀剣が暴れまわったらどうしよう、と思ったのだが非常事態にはならずに三日月は哀れっぽい笑みを浮かべた。 「今日は胸騒ぎがしていた。いつもの祈祷も身が入らずにこうやってありく始末だ。……。一緒に、顕現の様子を見てもよいか?」 「構わないぞ」  なあ、世祖?と下を向いた#名前2#にうなずいて世祖は素材三日月を手に取るとふぅっと息をふきかけた。いつもは世祖が刀身に祝詞をささげてーという面倒な作業をするのだが配布されたこの刀剣については顕現失敗しやすい審神者たちでも扱えるように、とドロップと同じ扱いになったのだ。(ドロップと鍛刀とでは顕現の仕方が違うらしいが#名前2#はそこらへんに疎いのでほとんどわかっていないが)  パリン、と割れるような音がして何かが現れる。三日月宗近が現れた。と、思ったがそこにいたのは三日月宗近によく似た男だった。男、だと思いたい。あまりにも中性的な顔であったし、前髪が長すぎてこっちを見られなくなっていた。 「み、三日月…?」  世祖も#名前2#も同じ三日月宗近でさえもぽかんと口を三日月宗近モドキを見つめていた。素材のモドキはうぐぅ、とふげぇともごもごしゃべったと思ったらバタリと倒れてしまった。 「み、三日月宗近ぁ!!?」  思わず叫んだ#名前2#の声が本丸の中を駆け回ったのはもちろん世祖の仕業であった。 「あ、えっと…、…俺、は」 「あー、…君のペースでしゃべってくれて構わないから」 「う、うす」  といってもこうやって視線の集まる中ではマイペースを貫くというのは難しいだろうが。練度が上限に達した刀剣たちは沢山いる。加州清光を筆頭に、薬研藤四郎やへし切長谷部といった世祖の護衛刀や大太刀の石切丸、蛍丸。  五虎退や今剣といった世祖たちと遊んでいた短刀に、#名前2#の持っている陸奥守も上限に達している。打刀は尽く達しており、なっていなのは宗三左文字、大和守安定、長曽祢虎徹、鳴狐の4振りでそれ以外は全員がカンストと呼ばれるたぐいだ。脇差、太刀、槍はそれぞれ青江、燭台切、蜻蛉切が達しており部屋にそっと集まってきた。居てはいけないわけではないがいたら困るだろうなあという思いを持て余しながらやってきた3振りである。  加えてカンストしていないが当事者とその保護という名目で三日月と小狐丸がこの部屋に集まってきた。十振り以上の刀剣男士が世祖と#名前2#と素材三日月モドキを取り囲み容赦ない視線をずばずばと送っていたのである。いつもはかなり鈍感な#名前2#でさえもこの視線にはうわァと思うらしく気遣いというものをしていた。 「あ、えっと、俺、こんなこと言うと可笑しいかもしんないんすけど、……」 「ああ、うん、まあ…言ってみれば?」 「あ、アザす! 俺、実は元は審神者で…」 「審神者? んん?? なんで顕現されてんの??」 「そ、それが俺もよく分かんなくて! 見習いのせいってことは分かってるんすけど……」  尻すぼみになっていく三日月モドキの口ぶりに同田貫がイライラしたように「めんどくせえやつが来たな」と呟いた。三日月モドキにもその言葉は届き、びくりと肩を揺らすと「す、すんません…」と元から悪かった顔色をさらに青白くさせて頭を下げた。 「たぬ、めーよー」 「同田貫怒られてんぞー。んで、まあ三日月モドキくんさぁ」 「お、俺の名前は菊池です…」 「ああ、菊池くんね。うん、そんで菊池くんさぁ刀剣男士のまま働くの? それとも人間に戻りたいの?」  #名前2#の見当違いな発言に世祖は唖然としたがすぐにはっとして手が空を切った。ひゅうん、と音が鳴って三日月モドキという名前を変えた菊池の前髪がばっさりと真一文字に切られた。 「キク!」 「菊池くんな」 「こん 呼ぶ」 「おー、そんじゃまとりあえずこんのすけが帰ってくるまでは菊池くんゆっくりしてきなよ。これからどうするかはゆっくり決めようぜ」 「う、す…」 「刀剣男士じゃなくてもここに居たければいればいいし、人間に戻るなら手伝いするし。あー、見習いだっけ? そっちも何とかなるといーね。 えーっと、今日の近侍は誰にしたんだっけ?」  #名前2#の言葉に世祖が指さしたのは関わりたくないというオーラを体中から憤懣させた蛍丸だった。 「蛍丸か。菊池のこと頼むな」 「えぇぇー」 「はいはい可愛く言っても無駄無駄無駄ァ!! 菊池の面倒ちゃんと見るんだぞー」  ほら、解散ー。そう言って#名前2#が手を叩くと皆はそれぞれ部屋から出ていきだした。蛍丸はまだムッスリとした顔を隠さずに菊池を見つめ、ほかの刀たちはそんな2人に軽く声をかけながら出ていった。 ー大丈夫、蛍丸くんは悪いやつじゃないよ。 ーこれから宜しくね、菊池。 ーおう、同田貫は悪い奴じゃねーからな。気ぃ悪くすんなよ。 ーほたるまる、ちゃんとめんどうみるんですよ!! ーが、頑張って下さいね…!! ー蛍丸殿、そう拗ねなさるな。  三日月、小狐丸、あと加州たちは俺んとこ来てくれや。  #名前2#の言葉に加州は長谷と薬研を呼び寄せてみなとは反対方向の廊下を歩いていく。三日月は吐血しないように小狐丸に肩を貸されながらその後を静静とついていく。まるで呼び出しを食らった不良とその参謀のような格好だが#名前2#にはそれを分かり合えるような人がいないので世祖を抱き上げて自分も部屋を出ていくことにした。出る際にきっちりと蛍丸に釘をさすことを忘れずに。 「ちゃんと面倒見るんだぞ、蛍丸」 「ほた、がんばるー」  世祖が#名前2#の肩ごしにくちゃりと笑って菊池に手を振りながら去っていく。刀剣男士とモドキの刀剣男士が残った部屋で菊池は先程よりも気温の下がったような恐ろしさを感じていた。