から紅の恋文

!紅葉の家族捏造してます。本家に出てきたら修正します。 !時系列ちょっと変えてます  友人に連れてこられた、という表現は彼に合ってない気がしたがとにかく彼は自分からここに来ようと思っていたわけではなかった。ある人のメンタルを見てやってほしい。言われてからすぐに思ったことは面倒だから嫌だという気持ちだった。自分はしがない大学生なのだからメンタルケアはお門違いだ、と言いたかったのだ。嫌だ嫌だと思っていたが#名前2#はにわかに心持ちを変えて「分かった、行くよ」と返した。沖野の命令に逆らってまで考えを貫くほど#名前2#は強くなかった。  会ってから思ったのだが、情報というものはきちんと相手に伝えることが大切だ。メンタルケアをするのが大の男とは聞いていない。そんなのプロに見てもらった方がいいに決まってる。自分はシャーロックホームズじゃないんだから、ワトソン博士の気分を盛り上げてやるなんて出来ない。  山伏はそんな#名前2#の言葉をカカカと笑い飛ばして会うだけ会ってくれと願った。あの男はどうしようもなく救えないからプロじゃどうにもならないとも。その言葉だけでは分からなかったが会ってみてようやく山伏の真意が分かった。  伊織という男は全くお嬢様以外のことを考えられない性質だった。 「#名前2#。こちらが今かるたの面倒を見ている大岡紅葉である。横にいるのはー」 「伊織無我です。お嬢様の執事をしております」 「どうぞよろしゅうお願いします」 「紅葉。こちらは拙僧の友の#名前1##名前2#だ」 「よろしくー」  #名前2#は面倒くさがって適当に挨拶したわけだが大岡はニコニコと笑っていた。京都の女らしい、いけずな笑みだった。大岡紅葉は大阪の人間じゃなかったか?と思いながらも#名前2#はへらりと笑い返した。  伊織無我はお嬢様のことに関してはエキスパートだった。挨拶も早々に山伏たちを客室に案内した。大岡紅葉にこれ以上不快な思いをさせないためだろう。  どうせ同じ声をしているならば、悪魔な執事のように何でもできるスーパー執事を目指してほしいがそれは夢でしか有り得ない。  山伏と共にかるたの特訓を少しだけ手伝った。#名前2#とて少しは本丸でやってきているが大岡紅葉には適わなかった。読手ならば出来る、と山伏は連れてきたらしい。テープ音声では聞き取れない息の感覚などを大岡紅葉の耳に落とし込む。そのために呼ばれたのか、と知った時には#名前2#は自分の喉を煩わしく思った。コピーできる機能なんて俺にはいらない。  練習は山伏と合わせてもかなりやっていたのに、大岡はそれでもまだ続けると部屋に残った。伊織の方も残るらしい。山伏は心配そうにしていたが、俺は気にしていなかった。ガキじゃないんだから、自分の面倒くらい自分で見れるだろうと思ってだ。  その日の夜。#名前2#はトイレで倒れていた大岡紅葉を助けた。生理による軽い貧血だった。かるたの練習のし過ぎでホルモンバランスが崩れていたらしい。汗をかいたまま腹を冷やしていたらそうなるわ、と#名前2#は言った。だが、大岡紅葉にとっては頼れるのは執事だけなのだと青白い顔で教えてくれた。父親も母親もここにはいない。海外で仕事かと思ったが大岡はそれ以上を語らなかった。  女の生理を知ったのはいつだったか俺はもう覚えてない。一緒に暮らしていた祖母さんは閉経していたから俺は生理というものを学校で習った。股から血が出る様子は想像だとドロドロとしていてまるで内蔵が傷つけられたようだった。実はそうではないと知ったのは恋人に生理が来てからだった。 「生理はね、いらなくなった血が出てきてるの」 「……?」 「子宮からね、血が出てくるの」 「…………。へえ。それって、死なないのか?」 「大丈夫よ。でも、重い子は貧血になったりするそうね」 「貧血に?」 「いつもじゃないの。でも、たまに、ね」 「そうなのか」  俺にとっては生理ってのはセックスできなくなるもの、妊娠を確認するためのそれだった。その話を聞いてからは生理って怖いという印象を持った。大岡は倒れている。伊織は呼ばないでほしいという。このままでいいのか俺にはわからない。 「大岡。お前、これまでにこんな経験は?」 「……ないわ」 「けがは? どこかぶつけたか?」 「腰を少し」 「薬のアレルギーは?」 「眠くなるのはダメ」 「それは市販タイプだろ」  とにかく部屋に戻るぞ、と立ち上がらせようとしたらまってというか細い声が聞こえた。 「ナプキンに変える」 「わかった」  ナプキンとタンポンについても前の彼女に聞いたことがあった。競技をするタイプの人はタンポンをすることが多いと聞いた。タンポンとナプキンに関しても#名前2#は外につけるか中にいれるか程度の知識しかなかったがトイレの外で待ってるからなと言うぐらいのことはできた。  トイレから出てきた大岡はまだ青白い顔をしていて本当に大丈夫なのか心配になってしまう。肩を貸して部屋に戻ろうとすると、なぜか伊織に廊下でばったり出くわした。 「お嬢様!?」 「ぃ、おり……」 「どうなされたのですか?」 「これは、」 「伊織さん。大岡はただ体冷やして体調崩してるだけっすよ」  #名前2#の言葉に伊織はむぐっと口を噤み、口をひね曲げて「そうですか」と呟いた。 「何かすべきことはありますか?」 「あったかい飲み物お願いします。あと薬飲む水も」  伊織は頷いて今来た廊下を再び歩いていった。#名前2#は知らなかったのだが、伊織にとってはお嬢様が大変な時についてあげられなかったことは相当にショックだったのだ。大岡紅葉はその背中を見ながらも何も声をかけなかった。彼のことは大岡紅葉がいちばん分かっている。  部屋に連れていくとなぜかモニターが設置されている。不思議に思いながらもベッドに横たわらせた。薬はカバンのピンク色のポーチに入っているらしい。 「これか?」 「………」  #名前2#の声に大岡紅葉は答えなかった。手をさすり、布団を腹のところまでかけてやる。あんまりにも掛けすぎると暑くて寝られない。  腹のあたりを撫でていたらコンコンと木の音がした。大岡紅葉はまだ目を瞑ったままでいる。寝たわけではないが痛みで答える気力がないようだった。仕方なく#名前2#が「どうぞ」と声をかける。少しの沈黙の後で伊織はゆっくりと扉を開けた。 「ホットココアをご用意しました。お水はこちらに」 「大岡。薬飲まないと。起きられるか?」  大岡紅葉は薬という単語でゆっくりと目を開けた。#名前2#を見てふぅと息を吐く。 「飲みます」  ゆっくりと起き上がる大岡に俺は手を貸してその背中を持ち上げた。本当は何か食べさせるのがいいんだよなあと思ったがこの喉が固形物を通してくれるか心配だった。口では欲しがっても喉は通らない病弱人をよく見ていたのだ。 「伊織さん。チョコとかあります?」 「うちにはそのような物は……」 「ならしょうがない。大岡、ココア飲んで落ち着いたら薬のみな。伊織さん、バスタオル持ってきてくれます? 俺、外行ってチョコ買ってきます」 「私が買いに行きますよ?」 「毒なんか入れませんよ。コンビニ走ってくるだけです」 「うちはコンビニから遠いですよ?」 「知ってます。来た時、見てました」  #名前2#は笑顔のまま家を出ていった。山伏に何も伝えずに、だ。伊織はその姿を見送って少しだけ考えて山伏と#名前2#にあてがった部屋に行く。 「国広井さん」 「どうした、伊織」 「先ほど、お連れの方がコンビニに行きました。お嬢様のためにチョコレートを買ってくる、と」 「ほう。そうであるか」  国広井はそれ以上言うこともない、と背を向ける。それがなんだがあまりにも御座なりな反応に思えて伊織には心にひっかかった。 タンポンについては競技系の人が沢山やってるかどうか知らないです、すみません。運動系の子はタンポンが楽だ、と前に友人に聞いたのを参考。